ライチの取り木

マダガスカルはライチの輸出国。おもにヨーロッパなどに輸出されており、日本にはあまりマダガスカル産ライチは入ってきていないようです。

今仕事をしているアロチャ湖周辺でもライチは取れるのですが、まとまった量の木はなく、現地消費がせいぜい。でも、ここにはアドバンテージが一つあります。それは、輸出用ライチを作っている地域とは、ライチの出荷時期がずれること。

つまり、向こうのライチの出荷が終わってから出荷ができること。既存の一大ライチ産地と競合しなくて済みます。無論いきなり当地産のライチを輸出できるかどうかは、かなり怪しいですが、首都へ出すならかなり現実的ではないかと考えています。

ライチの取り木

そこで勧めているのがライチの取り木。ライチの木を持っている人の果樹園でライチの取り木の研修をさせていただき、プロジェクトができたら一の苗を買い取ります。研修参加者にライチの苗木を植えてもらい、また余った苗木は他の人たちに配布して植えてもらいます。

こうしてライチの木の数を一挙に増やせば、数年後にはライチの実の生産量もぐっとアップするのではなかろうか、という寸法。さて、ライチ増産計画はうまく行くかどうか。

マダガスカルのクスノキ

マダガスカルにもクスノキがあります。日本のクスノキからは樟脳が取れますが、マダガスカルのクスノキには樟脳成分があまりなく、全く別の薬用成分が多く含まれているそうです。マダガスカルのクスノキは多分どこかから持ち込まれたものだと思いますが、なぜ独特の成分を有するのか詳しいことはわかりません。

マダガスカルのクスノキからはエッセンシャルオイルが取れますし、また葉を現地の人たちは薬として使います。そのためクスノキは大人気。かなり高値で取引されています。

クスノキを増やすのは容易ではなく、特に発芽させるのが難しいのです。それがクスノキの希少価値を高めています。

そこで、クスノキのタネをまく研修を企画しました。車で3時間かかるところで苗畑を経営する技官の人をお願いして、クスノキの種を購入。彼が開発したクスノキの種まき技術を伝授していただきました。何年かして、この地域がクスノキの一大生産地になっていると良いのですが。

ユーカリの稚樹を泥団子へ移植 ポット不要の技術

マダガスカルの田舎の人たちは薪に困っているせいもあり、かなり植林には積極的。でも実際にやろうとすると、主要樹種であるユーカリを植えかえるのに使うポットがなかなか手に入りません。プロジェクトであっても、大量のポットを遠くから調達して運ぶのはかなり手間です。

ポットのいらない方法はないか、と思っていたら、マダガスカルでは泥団子に移植する方法があるとか。早速見せてもらいました。インターネットの接続速度が遅いので、解像度はかなり落としてあります。

この泥団子、苗畑にどれくらいの間置いておけるのか?とか、調べたいことはいくつもありますが、とりあえずポット代もいらず、コストパフォーマンスは抜群。植栽後にそこそこの生存率を示せば、かなり有望な技術となるかも。

マダガスカルでの研修

マダガスカルでの研修風景

マダガスカルの農村で、主にユーカリの木を育てる苗畑の研修をしている風景。この集落は約30戸余りの小さな所。出席者のほとんどは男性ですが、女性や子どもは近くで見ています。

この「近くで見ることができる」というところで研修を実施するのが大切。こうすれば、他の人にも「何かやっている」とわかりますし、正式に参加していなくても耳をそばだてていれば内容はわかります。

クスノキのエッセンシャルオイルが人気

久しぶりのマダガスカル。ムラマンガという地方の町である苗畑を訪ねました。個人で運営されているこの苗畑には、クスノキがある、と聞いたからです。

苗畑のクスノキ

最近村の人たちが「クスノキを植えたい」とよく言います。理由は、クスノキがエッセンシャルオイルの原料になり、高く売れる可能性があるから。

クスノキはもちろんマダガスカル原産ではなく、日本や中国にある木ですから、マダガスカルでは植栽された限られた数の木しかありません。ですから、村人に紹介しようにも種や苗木が簡単には手に入らないのです。

この苗畑のオーナーは、自分でクスノキの種を取ってきてクスノキの苗木を生産していますが、他に譲るだけの種の量は確保できないとのこと。苗木なら売ってくれるそうですが、それが彼の商売ですから、まあ当然ですね。

でもかねてからの疑問を尋ねてみました。
「いったい農民はどうやってクスノキを売るんですか?」

明確な回答は返ってきません。どうやら彼も、誰がどのようにクスノキを買ってくれるのかは知らない様子。つまり、「売れる」という情報が先行していて住民が興味を持っているけど、具体的な取引はまだこの地方では行われていない、というところなのでしょう。

マダガスカルの首都、アンタナナリボまで行けば買ってくれるところがあるのかもしれませんが、もう少し調べてみる必要がありそうです。

僕らの対象地域では、かつてJICAの協力が行われていた頃に「ジャトロファが良い」と日本人が言っていたそうで、「木を植えればジャトロファの種を買ってくれると日本人が言っていたが、お前たちがそうか?」と聞かれたことがあります。

マダガスカルの薪

マダガスカルの薪

マダガスカルのある貧しい農村の、ある家の前に置いてあった薪。事情を知らない人が見たら「この村にはいい薪があるじゃないか」と思ってしまうかもしれません。

この薪はマツ材ですが、マツはこの村から歩いて行ける範囲にはほとんど植えられていません。実を言うとこのマツは、自転車で数時間かかるところにある製材所へ、この家の人が自転車を漕いて行って、端材を拾ってきたものです。

一番上に置かれている4本の薪、これで100アリアリ(4円)で村の中で売られています。この村の近所にはまとまった林がなく、村の人たちは薪の確保に苦労しています。そこで、この家の人は薪の販売に目を付け、遠くまで薪を取りに行くために、多分無理をして自転車を手に入れました。

なぜ「多分無理をして」なのかと言うと、この家の作りが、村の中でもかなりみすぼらしい状態にあったからです。つまり、収入の道があまりない家庭、貧困家庭の可能性が高い、ということです。

山奥で薪が豊富にとれる例外的な村を除き、水田近くに集中して人々が暮らすマダガスカルでは、薪の供給が大きな問題になっています。

調べた村の中には、毎日数時間かけて薪とりをしているという家庭も多く、また、逆に、薪を売って生計を立てている人たちも数多くいます。

「この村になぜこんな立派な薪があるのだろう?」と疑問を持つ所から、村の人々の生活に関する多くのサジェスチョンを得ることができます。