マダガスカルの薪

マダガスカルの薪

マダガスカルのある貧しい農村の、ある家の前に置いてあった薪。事情を知らない人が見たら「この村にはいい薪があるじゃないか」と思ってしまうかもしれません。

この薪はマツ材ですが、マツはこの村から歩いて行ける範囲にはほとんど植えられていません。実を言うとこのマツは、自転車で数時間かかるところにある製材所へ、この家の人が自転車を漕いて行って、端材を拾ってきたものです。

一番上に置かれている4本の薪、これで100アリアリ(4円)で村の中で売られています。この村の近所にはまとまった林がなく、村の人たちは薪の確保に苦労しています。そこで、この家の人は薪の販売に目を付け、遠くまで薪を取りに行くために、多分無理をして自転車を手に入れました。

なぜ「多分無理をして」なのかと言うと、この家の作りが、村の中でもかなりみすぼらしい状態にあったからです。つまり、収入の道があまりない家庭、貧困家庭の可能性が高い、ということです。

山奥で薪が豊富にとれる例外的な村を除き、水田近くに集中して人々が暮らすマダガスカルでは、薪の供給が大きな問題になっています。

調べた村の中には、毎日数時間かけて薪とりをしているという家庭も多く、また、逆に、薪を売って生計を立てている人たちも数多くいます。

「この村になぜこんな立派な薪があるのだろう?」と疑問を持つ所から、村の人々の生活に関する多くのサジェスチョンを得ることができます。