マダガスカルの土砂崩れ(ラバカ)

マダガスカルの土砂崩れ ラバカ

この写真(クリックすると一回り大きな写真が表示されます)で紹介しているのはラバカ(マダガスカル語で穴の意味)と呼ばれる大きな土砂崩れです。大小さまざまなものがありますが、これは深さは100メートルあまり、直径は500メートルと言ったところでしょうか。

デジカメを広角にしても入りきりませんから、これは4枚くらいに分けて撮影したものを、コンピュータ上で繋いだ写真です。

よく見て頂くとわかりますが、ラバカの上の斜面や向こうの方に見える山にも、ほとんど植生がありません。つまり、本来森があったはずのところが、痩せた草がしょぼしょぼ生えるだけの荒れ地になってしまっているのです。

ラバカは昔から発生していたと考えられますが、人間が入り込んで農業や牧畜を始めて以来、火入れなどで森林が荒廃。土地の保水力も大幅に低下して、ラバカの発生を加速してしまっていると考えられています。

このラバカ、日本の地滑りとは違い、人的被害の報告はあまりありません。日本の地滑りの場合は、斜面が一度に滑り落ち、大量の土砂が一挙に押し寄せますが、ラバカの場合はぼろぼろと弱いところから崩れ、その土砂が雨で下流に流されて来る、という感じです。

もちろん一挙に来ないだけで、上の写真の「穴」にかつてはどれくらいの土砂が詰まっていたかを考えれば、下流に流れ出た土砂の量は相当なものであることがわかります。

この下流域には水田地帯が広がっており、ラバカから流れ出た土砂は川や用水路の底にたまり、また水田に流れ込んで、米作りに大きな被害を出しているのです。

それで植林やラバカのコントロールが急務になっているわけですが、正直このサイズのラバカになったら、崩落を止めるのは容易ではありませんし、可能であるとしても莫大な費用がかかります。

小さなラバカは地域の住民の人に土砂の流出を抑える方法を教えて凌ぐ予定ですが、このような巨大ラバカになっては、もう住民だけでは手の施しようがない、というのが現実です。