村の中のキオスク

村の中のキオスク

これはある貧しい村の中にあったキオスク?とも呼べないくらい小さなお店。売っているのはバナナとかオレンジとか、ばら売りですし、しかも周辺にあるものばかり。

実を言うとマダガスカルでも他の国でも、地域差はあるものの、村の中での売買や雇用による現金のやり取りは結構あるものなのです。

これなら、消費者のニーズもバッチリわかりますし、売り手も遠くまで出かけたり、外部の市場に合わせて加工に手間をかけたりする必要がありません。

国際協力では、いきなり首都の市場とか海外市場を村人に狙わせるような指導をするところもありますが、まずは村内とか、あるいは周辺村や近場のマーケットなど、住民が身近に想像できる範囲で考える方が早道のように思います。

マダガスカルの牛

マダガスカルのこの辺りで一般的に飼育されているのはゼブ牛と呼ばれるコブウシ。角も比較的大きめで、この間後ろから歩いてきた牛に背負っていたリュックを突かれました。リュックがなかったら結構痛かったかも。

マダガスカルのゼブ牛

このゼブ牛、飼われている目的は農業などで、いわゆる役畜として使うのが目的です。

その中でも特に農民が重視しているのが牛糞。写真の奥の方に山になっている牛糞が見えますが、多くの農家にとってはこれが唯一の田畑に使う肥料になります。

この牛は柵の中でトウモロコシの皮を貰っていますが、実際には多くの村で牛を放牧しています。放牧はコメが育っていない時には田んぼの周辺でも行われますが、それ以外の時期も含め、多くの期間は山地で放牧され、痩せた草を食んでいます。

マダガスカルには森がなくなった禿山が多いのですが、その原因の大きな一つが牛の放牧です。と言うか、「山には木があるもの」という日本人の感覚とは違い、彼らの土地利用区分では、基本的に「山は放牧地」なのです。山でも集落に近いところには山畑もありますが、大部分は放牧地か、「管理されない土地」となっています。

山で草をはんだ牛は糞を出し、それが田畑の肥料になります。また、牛車(カート)をひいている牛も良く見かけます。

つまり、山の草が農民にとってはエネルギー源であり、肥料の元となるわけで、ガソリンや化学肥料に頼る我々にとっての石油みたいなものですね。

だから「山に木を植えよう」は、実はさほど容易ではないわけです。

パイナップルとキャッサバのインタークロッピング

インタークロッピング

この写真は、マダガスカルのある村で見かけた農法。ほぼ等高線に沿う形で深めの溝を掘り、土を畝にあげてそこにキャッサバを植えてあります。特に誰に教わったわけでもなく、自分で工夫してやっている様子。

雨季乾季のはっきりしている地域ですから、湿気を好むパイナップルを水の貯まる溝の中に植え、乾く畝には乾燥に強いキャッサバという組み合わせ。

奥に見えている家のようなものはお墓です。この墓は個人のものではなく、一族のもの。血縁関係を表すのに「同じ墓に入る人」という定義があるそうです。

マダガスカルのコメツキ

コメツキと聞いても今の日本人には「コメツキムシ」しかわからないかもしれませんが、ここマダガスカルの田舎では、まだコメをついています。

マダガスカルのコメツキ

村でとれたコメを女の子たちが籾が付いたまま臼のような木の道具の中に入れ、それを順番にリズミカルに木の棒で突いています。こうして籾殻と糠(ぬか)をどうじに取るようです。取った糠などはここではガチョウの餌にするとか。他の村では豚の餌にしていました。

突き終わったコメは後ろで座っている女性が、別の道具を使ってコメと不純物をより分けます。

ちなみに、コメを突くのに使う棒の材は、この辺に多いユーカリではなく、マダガスカル原産で家具にも使われる硬い木を、少し離れた別の村から手に入れるのだそうです。

動画も撮影したのですが、マダガスカルのインターネット接続環境では、遅すぎてアップロードできませんでした。

マダガスカルの露天商

マダガスカルの露天商

マダガスカルでも他の国と同じように、道端の露天商をよく見かけます。こうした露天商は、もちろん自分の畑の作物などを持ってきて売っている場合もありますが、農家から仕入れて売っているケースもあるようです。つまり村人の間で商品の売買がなされている、ということです。

ちなみにこのお店で売っているのは干魚、サツマイモの葉、ナス、トマト、玉ねぎ、ササゲ、などです。

マダガスカルの露天商では、場合によってはニンジンを千切りにして売るなど、農作物に一工夫加えてから販売している例もあり、他のアフリカではあまり見かけたことがありません。