マダガスカルの牛

マダガスカルのこの辺りで一般的に飼育されているのはゼブ牛と呼ばれるコブウシ。角も比較的大きめで、この間後ろから歩いてきた牛に背負っていたリュックを突かれました。リュックがなかったら結構痛かったかも。

マダガスカルのゼブ牛

このゼブ牛、飼われている目的は農業などで、いわゆる役畜として使うのが目的です。

その中でも特に農民が重視しているのが牛糞。写真の奥の方に山になっている牛糞が見えますが、多くの農家にとってはこれが唯一の田畑に使う肥料になります。

この牛は柵の中でトウモロコシの皮を貰っていますが、実際には多くの村で牛を放牧しています。放牧はコメが育っていない時には田んぼの周辺でも行われますが、それ以外の時期も含め、多くの期間は山地で放牧され、痩せた草を食んでいます。

マダガスカルには森がなくなった禿山が多いのですが、その原因の大きな一つが牛の放牧です。と言うか、「山には木があるもの」という日本人の感覚とは違い、彼らの土地利用区分では、基本的に「山は放牧地」なのです。山でも集落に近いところには山畑もありますが、大部分は放牧地か、「管理されない土地」となっています。

山で草をはんだ牛は糞を出し、それが田畑の肥料になります。また、牛車(カート)をひいている牛も良く見かけます。

つまり、山の草が農民にとってはエネルギー源であり、肥料の元となるわけで、ガソリンや化学肥料に頼る我々にとっての石油みたいなものですね。

だから「山に木を植えよう」は、実はさほど容易ではないわけです。