マダガスカルの赤コショウ

以前マダガスカルの緑コショウを紹介しました。これ以外にもマダガスカルでは赤コショウ(ピンクコショウ)を作っています。ただし、赤コショウの方は本当のコショウではなく、フランス語では Baie Rose と呼ばれ、コショウを意味する poivre は名前につきません。

これはペルー原産の植物で、実は確かにコショウと同じくらいの大きさ、味もコショウのようなピリッとした感じがあります。

赤コショウ

写真は摘果し、品質別に分けたもの。左がグレード3で右がグレード1です。

木になっている時はこんな感じ。通常のコショウとはやはり全然違います。

赤コショウそして植栽地はこんな感じ。これらの写真はブングラバ県での撮影です。

赤コショウの畑

 

谷内の田んぼとラバカ

今日出かけたのは土壌崩壊(ラバカ)の対策を住民が行っているところ。行くまでが大変でまず、車で川の中を進みます。

車で川を進む

次には、人間が靴を脱いでじゃぶじゃぶと川を渡ります。

歩いて川を渡る

次に谷内に作られた田んぼの中を上流へと向かいます。現在乾季なので田んぼに水はなく、田んぼの中を進みます。ちなみにあぜ道のようなものはあまりつくられていません。最奥部に見えるのがラバカです。

谷内の田んぼ

奥に行くに従ってラバカが見えてきました。放置しておくと、土砂が谷内の田んぼに流れ込んできます。

見えてきたラバカ

ラバカの直下はこんな感じ。4月に住民が土砂の流れを停める工事を行っています。この様子を確認するのが目的でした。手前に少し見えている竹は住民が土砂を停める竹垣に使ったもの。

ラバカ内部

そして帰路。車が川の中でスタックしてしまいました…

川の中でスタックした車

マダガスカルの緑コショウ

マダガスカルもインド洋の島ですから、スパイス類が豊富。コショウも栽培されていて、白コショウ、黒コショウ、赤コショウなども売られています。緑コショウというのもありますが、緑コショウだけは、まだ未熟なコショウで、乾燥させずに粒の実をそのまま料理に使います。レストランなどではよくステーキにかけるソースなどに使われています。乾燥したコショウほど辛くはないですが、爽やかなスパイシーさが楽しめます。

マダガスカルの緑コショウと豚肉のソテー

この写真にあるのは、豚肉を緑コショウと一緒にソテーしたもの。写真のコショウは赤い色ですが、一般的には緑豆のような緑色をしています。さて、写真のは赤くても分類上はこれも「グリーン・ペッパー」、フランス語ではpoivre vertです。「緑色」というよりは「若い」という意味で緑なのでしょうか。大農園ではなく、田舎の農家が作ったためか、粒も貧弱で不ぞろい、値段も一人分数円程度と格安でした。下の写真が買ってきた時の状態です。

マダガスカルのpoivre verde

ライチの取り木

マダガスカルはライチの輸出国。おもにヨーロッパなどに輸出されており、日本にはあまりマダガスカル産ライチは入ってきていないようです。

今仕事をしているアロチャ湖周辺でもライチは取れるのですが、まとまった量の木はなく、現地消費がせいぜい。でも、ここにはアドバンテージが一つあります。それは、輸出用ライチを作っている地域とは、ライチの出荷時期がずれること。

つまり、向こうのライチの出荷が終わってから出荷ができること。既存の一大ライチ産地と競合しなくて済みます。無論いきなり当地産のライチを輸出できるかどうかは、かなり怪しいですが、首都へ出すならかなり現実的ではないかと考えています。

ライチの取り木

そこで勧めているのがライチの取り木。ライチの木を持っている人の果樹園でライチの取り木の研修をさせていただき、プロジェクトができたら一の苗を買い取ります。研修参加者にライチの苗木を植えてもらい、また余った苗木は他の人たちに配布して植えてもらいます。

こうしてライチの木の数を一挙に増やせば、数年後にはライチの実の生産量もぐっとアップするのではなかろうか、という寸法。さて、ライチ増産計画はうまく行くかどうか。

マダガスカルの小規模養豚

マダガスカルの豚

マダガスカルの農家にとって豚は大切な財産であり、養豚は現金を得るための大切なビジネスです。

ただし時折伝染病が発生しているそうで、数年前には村の中の豚が全滅した、というケースもあったとか。

また、ここで行われているのは養畜で、子豚を購入してきて育てて売る、というもの。子豚の値段も安くはありませんし、病気のリスクもある、ということで、ある程度余裕のある農家しか豚を飼うことはできません。

コーヒーは育たない?

マダガスカルのコーヒー

マダガスカルにはコーヒーを飲む習慣があります。多分旧フランス植民地だったせいでしょうか。苦いコーヒーにたっぷりの砂糖や練乳を入れて甘くして飲むのがマダガスカル風。

さて、今仕事で入っている地方は「コーヒー栽培には向かない」と専門家が言っていたそうです。ところが、村回りをしていると、確かにコーヒープランテーションのようなものは皆無ですが、数本のコーヒーの木が植えられていたり、僅かばかりのコーヒー豆が村の中で売られていたりします。

写真のコーヒーの木もある庭先で見つけたもの。びっしりと実を付けています。

「専門家がコーヒーに向いていないと言ったじゃないの?」

と思うわけですが、専門家の言うことが必ずしも間違っているわけでもなく、またすべて正しいわけでもありません。

例えば、輸出できるようなクオリティーの高いコーヒーがまとまった量この地域で生産できるか?と考えたら、専門家の言っていることが正しく「難しい」が答えかもしれません。

でも、農家が自家消費用や近所あるいはせいぜいが近くの町のマーケットくらいで売るくらいの質・量のコーヒーができないか、と言ったら、多分できるはず。

地場産業としてのコーヒーの育成は難しくても、個々の農家が多少の収入を得るためのコーヒー栽培なら十分可能かもしれません。

専門家と話をする時には、どのような視点に立っているかをチェックする必要があります。専門教育を受けた人は、どうしても量や質に不必要に高いものを求めがちです。

米ぬかの使い道は?

マダガスカルの米ぬか販売

ムララノクロムの木曜市で精米した後の米ぬかを売っている二人の若い女性。聞いてみたら、同じ家族だそうですから、姉妹でしょうか。彼女たちの前におかれている大きな袋に入っている米ぬかは、右と左で色が違いますから、これも確認してみると、コメの品種が違う、ということ。これで複数の品種を栽培している農家があることがわかります。

さて、ではコメぬかを何のために売っているのか?ぬか漬けを作る?そんな習慣はマダガスカルにはありません。袋に入れて顔をこする…今の日本のお年寄り世代なら記憶があるかもしれませんが、そのような使い方もマダガスカルにはないようです。

彼女らが売っているぬかは、基本的には家畜や家禽の飼料、場合によっては養魚池にまく餌になるようです。農家で聞いてみると、豚や鶏、ガチョウなどには糠を与えている様子。自分の田んぼからの供給量で不足する場合には、飼料を買って来て与えています。

特に豚は成長が早く、子豚を購入してきて肥育すると3ヶ月あまりで80キロから100キロに育ちます。農家にとっては非常に利回りの良いビジネスですから、子豚の代金を払い、餌代にも投資をします。

ただし、ここで買われている豚はどうやら改良品種で、生産性が高い代わりに病気などに弱く、昨年も多くの村で豚が全滅したそうです。

マーケットの野菜売り

この写真はマダガスカル、ムララノクロムのマーケット内で野菜を売っている女性。農村地帯の中にある小さな町の市ですし、周辺の農家で聞くと「ムララノクロムの木曜市で生産物を売る」と答える人が非常に多いので、農家が持ってきた野菜を直接売る場所かと思っていました。

ムララノクロム市場の野菜売り

ここで、野菜を売っている女性に聞いてみると、どうも農家の人たちが売っているとは限らないことが明らかになってきました。もちろん、農家の人が直接売っているケースも多々ある一方で、この女性は販売に特化したベンダーで、農家から野菜を仕入れています。

野菜は農協が供給してくれるわけでもなく、また農家を回って仕入れるわけでもなく、どうやら市の日の早朝に農家が自分で作った野菜を持って来るのを、まとめて買い取り、それを小分けにして小売する、という商売のようです。

農家にしてみれば、多少売値は安くなるかもしれませんが、一日中市場にいる必要はなく、また、売れ残る心配もありません。早朝にまとめて代金を払ってもらえれば、自分が市場で必要なものをすぐに購入して帰ることができます。

農村開発の仕事をしている人の中には、小売商や卸商が農家からまとめ買いをしているのを見て「安く買いたたいている」「搾取している」と思い込んでいる人も結構います。もちろん、圧倒的な市場支配力があればそのようなこともおきますが、多くのケースでは、農家も小売商も win-win の関係になっています。

まとめて売ることができれば農家は自分で売るための時間を節約できます。現金を一括して手に入れることができます。売れ残りのリスクは農家ではなく、商品を買い取った業者がひきうけてくれます。

卸商や小売商は、まず現金を用意しなくてはいけないこと、売れ残りのリスクを自分が背負うこと、流通コストや市場の場所代を負担しなければいけないことなどと引き換えに、自分一人では精算できないくらいの量の産品を取引することにより、まとまった量の利益を得るチャンスを得ます。

市場価格と生産者価格との差を、全て農家の取り分にすれば…という考え方は、必ずしも合理的とは言えません。

ハヤトウリの売り方2種類

ハヤトウリ

今日マーケットで見かけた商品の一つが南米原産のハヤトウリですが、面白い売り方がされていました。

ある女の子が売っていたハヤトウリは、右側の山が5個で400アリアリ。もう一方は、1個で300アリアリ。

違いは、300アリアリの方は既に芽が出ており、苗として販売されている点。

「他のも芽が出るまで待てばもっと利益が出るんじゃ?」と聞いたら、「キャッシュがいるからみんな待つわけにはいかない」そうです。

生活全般にキャッシュフローが悪く、販売価格が安くてもとりあえず現金化しなくてはならない、という生活ぶりがここでもうかがえます。多くの農家はどこでもコメがとれてコメの販売価格が安い時に売り、食糧不足になってコメの価格が高い時に買い戻す、ということをやっていますが、同じ理由です。

やはり、現金収入を改善するオプションを考えないといけませんね。多額ではなくても良いので、収入をできるだけ平準化し、常にキャッシュフローが確保できるような形(つまり、給与所得者みたいなもの)に多少なりとも近づけるのが重要です。